ハワイ日系移民の服飾史

By | 2017年5月21日
ハワイ日系移民の服飾史 ブックカバー ハワイ日系移民の服飾史
バーバラ・F. 川上
Costume
平凡社
1998年12月9日
ハードカバー
318
香月洋一郎

日本の伝統をとどめて変遷してきた衣服の歴史をたどり、ハワイの日系移民の生活と文化をあざやかに再現して、移民史、服飾史、民俗(誌)学などの研究に示唆多い労作。

本書の刊行時、浅海の記憶では服飾史の資料としての評価以前に著者のプロフィールに関心が高かったように思う。長く洋裁の仕事をしながら53歳でリーワード・コミュニティ短期大学に。後にハワイ大学に入学。日系移民服飾史の調査は大学4年の時に始められたという。

原著「Japanese Immigrant Clothing in Hawaii, 1885-1941」はハワイ大学から1995年に刊行された。刊行当初から話題になっていたが、このような専門書の邦訳は無いものとあきらめており、平凡社の広告を見たときは興奮したことを記億している。

邦訳の香月洋一郎さんは民俗学の専門家であり、著者との交流のなか詳細な訳業がされている。翻訳本というより原著の改定新版ともいうべき書。いまは入手困難となっていることが残念。

服飾であるため、もちろん女性に限ったものではないが、やはりその変遷に女性を囲む歴史が大きくかかわっているように思われる。著者の川上さんは映画「ピクチャー・ブライド」にhistorical costumesのコンサルタントとして参加していることでも知られる。