新潟県立歴史博物館
2002/10/12
ペーパーバック (展示会図録)
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山本哲也(新潟県立歴史博物館主任研究員)
第一部:新垣誠(沖縄キリスト教短期大学)
全米日系人博物館のFrom Bento to Mixed Plate: Americans of Japanese Ancestry in Multicultural Hawai'i展の新潟県立歴史博物館巡回展示図録。
第一部は全米日系人博物館の展示から、第二部は「新潟の移民」として独自の編集がなされている。
特別寄稿を全米日系人博物館 三木美裕さんが寄せている。
「弁当からミックスプレート」展は日本では沖縄、大阪、広島を巡回、新潟の後にマウイ島で最終展示となった。新潟が一番近い展示場ということで日帰りで新潟県立歴史博物館に赴いたのだ。出不精の浅海としてはなかなかの行動力。
広島、山口、沖縄等の移民を多く出した地方の視点で編んだ移民史はいくつか出版され、浅海も目にしていたが、新潟からの視点で考えたことは無かった。そういった意味で貴重な機会を頂いた。新潟県からの移民ということで独自の展示が追加されているが、沖縄、大阪、広島でも同様の試みがされていたかもしれない。そう思うとそれぞれの図録を目にしたいという気持ちがわいてくる。
第一部には全米日系人博物館カタログに含まれぬ写真・解説も含まれている。
第二部の「新潟の移民」ではハワイだけではなく満州や南米など各地に散った移民達にも言及。この事情は例えば山口県のそれにも通じるものがある。また、「裏日本」という差別用語として認識される言葉をあえてつかって移民をそこからの「脱出」と説明する試みは新鮮だった。
目次にある「佐倉丸事件」は南米移民を取り扱った書等でしか説明が出てこない出来事。これはペルー移民の悲劇であるが、ブラジル移民等の経験なども含め、(怒られるかもしれないが)ハワイ移民はまだ恵まれていたのかもしれないと感じる。
ごあいさつ
全米日系人博物館から
第1部弁当からミックスプレートへ
-多文化社会ハワイの日系アメリカ人-
弁当からミックスプレートへ
1世-開拓者
2世-日本 アメリかハワイの混合と「ローカル」文化の誕生
戦争だ!
戦後一帰郷、そして一級市民への道
3世-新しい世代への橋渡し、そして未来へ
第2部 新潟の移民
「出稼ぎ」と「移民」
海外移民と新潟県-裏日本からの脱出
《コラム》故郷への想いのもとで
新潟県のハワイ・アメリカ移民
<コラム>アメリカで成功、帰国後海外協会設立し、移民へ尽力
『佐倉丸事件』
満州事変と満州移民のはじまり
分村移民
満蒙開拓青少年義勇軍
満州移民の終焉
くコラム>満州からの手紙-池田早苗さんから兄作英さん~
《コラム>満州と南米とそれぞれの移民として-
戦後の海外移民
<コラム>ハワイでの成功、今につながる国際交流
〈コラム> 40年の時を越えて
《特別寄稿》家族づれで楽しめる展覧会を
引用・参考文献
協力者,協力機関一覧