ハワイ日系二世坂巻駿三と津軽藩江戸詰坂巻家

By | 2017年7月18日
江戸町人の研究 第6巻 ブックカバー 江戸町人の研究 第6巻
横山學 他
吉川弘文館
2006-02
ハードカバー
432
西山松之助編

江戸町人の実態を照射したシリーズ,待望の完結編

横山學 著「ハワイ日系二世坂巻駿三と津軽藩江戸詰坂巻家」が所収されている

 

戦前、戦中のハワイ日系人について調べていくなか、坂巻駿三という名前を頻繁に目にすることになった。その背景を調べていくうち、出会ったのが「ハワイ報知100周年記念 ハワイ日系パイオニアズ」の坂巻駿三の項と、本書所収の横山學著「ハワイ日系二世坂巻駿三と津軽藩江戸詰坂巻家」である。

ドウス昌代著「ハワイに翔けた女」および「日本の陰謀」で坂巻銃三郎という人物が浅海の記憶に鮮烈に刻まれたが、坂巻駿三はその息子である。彼は敬虔なクリスチャンとして育てられ、その関係で戦前、戦中に日系人の歴史に大きな名を遺すことになった。日米関係のなかで葛藤した日系人の一人として記憶に留めなければならない。(1)(2)

横山學さんはハワイ大学の琉球コレクション研究のなかで坂巻駿三に関心をもち、この「ハワイ日系二世坂巻駿三と津軽藩江戸詰坂巻家」に研究成果をまとめられた。確かに坂巻駿三はクリスチャンでかつ愛国心の強いアメリカ人であるが、同時に「サムライ」の出自であることを強く意識していたようだ。学生時代には赤穂浪士の物語を舞台化した「The Faithful」(原作:John Edward Masefield)初演に浅野内匠頭役で出演(3)。他にも「サムライ」と結びつけられるエピソードがある。

ハワイ大学にフランク・ホーレイの貴重な琉球コレクションが残るのは当大学教授であった坂巻駿三の功績だ。

ハワイ大学マノア校図書館所蔵 阪巻・宝玲文庫について

Sakamaki Hall

ノートルダム清心女子学院 生活文化研究所 生文研メール

(1)吉田亮著「ハワイ日系2世とキリスト教移民教育」学術出版会,2008

(2)Tom Coffman 著「The Island Edge of America: A Political History of Hawai’i 」University of Hawaii Press ,2003

(3)Holly A. Blumner, Julie A. Iezzi, Alice E. Luhrmann, Kathy Welch編「101 Years of Kabuki in Hawai’i」University of Hawaii at Manoa,1995