檀山華僑学校国語文初級読本

By | 2017年4月29日
檀山華僑学校国語文初級読本/ELEMENTARY READER for THE CHINESE LANGUAGE SCHOOLS IN HAWAII ブックカバー 檀山華僑学校国語文初級読本/ELEMENTARY READER for THE CHINESE LANGUAGE SCHOOLS IN HAWAII
第一冊之一
檀山華僑聯合会編
教科書
檀山華僑聯合会/HAWAII CHINESE EDUCATIONAL ASSOCIATION
小冊子
21

日本語学校の歴史に興味を持っていたころ、オークションサイトでこの教科書を見つけた。

檀山とは中国語でハワイを示す。ハワイの白檀を求めた中国からの商人・移民にさかのぼる地名である。

発行年の記載がなく、いつ頃のものか判らない。歴史は日系移民より古いが、その後の日本人移民の流入の勢いの差、および教育問題の規模の大きさからか、当時の教科書に関係する情報が、少なくともインターネット上では少なくいまだ調べ続けている状態。

手持ちの「The Sandalwood Moutains:Radings and Stories of yhe Early Chinese in Hawaii」によればHAWAII CHINESE EDUCATIONAL ASSOCIATIONは1928年にホノルルの各校の先生が集まって結成されたとある。(Tin-Yuke Char,1975,P.155)

ハワイにおける日本語学校など外国語学校は当時規制の対象となっており、中国語もその巻き添えをくう形となっていた。

1927年にアメリカ合衆国大審院はハワイ当局の外国語学校取締法は合衆国憲法に違反するという判断を示した。それに伴い中国語学校も若い生徒への国語教育に力を入れ始めた可能性がある。また、上記書に収められた年齢別の人口構成図(1910、1920、1930)を見ると1930に初等教育の対象と思われる9歳以下の人口が大幅に増えており、その影響もあっただろう。(同,P.118 及びp.312)

オンラインで関連する資料を探したところ、以下の資料があった。

ELEANOR C. NORDYKE and RICHARD K. C. LEE,The  Chinese in Hawai’i:A  Historical nd Demographic Perspective,The Hawaiian Journal of History,vol.23(1989)

TABLE 3. のCHINESE POPULATION BY AGE AND SEX HAWAI’I,1900-1980
及び数ページ後の図を見ると1920~1930にかけて9歳以下の人口比が大幅に増えるが、その後、バランスが崩れる。これは移民法により成人の流入の増減が影響しているのか。

改めてこの教科書を見てみる。当初、英語の教科書かと勘違いしたほどの初歩的な内容で、当時の所持者のものと思われる漢字の書き取りが残っている。(古書が好きなのはこういうところ。表紙には所持者の名前らしき書き込みがある。迷惑を掛けなければよいのだけど)

二世、三世といったハワイ生まれの子供たちが学校では英語を習っていて家庭では漢字を覚える機会は少なかったか。

表紙のアメリカナイズされたイラスト。判りやすいようにモノクロでスキャンしてみた。この学生のスタイルで時代を判定してみようと考えたのだが・・・。