エッセイ
布哇報知社
1986.8.1
1959年、私はハワイ報知に入社したが、当時、「一日一想」はすでにハワイ報知の四面に毎日掲載されている好評のコラムであった。・・・
(ハワイ報知社長 ポール円福 「序」より)
1967年の「一日一想」の続編となる。手元にあるのはサイン入り。裏表紙には上原征生(ユクオ)さん、中野次郎さんの推薦文がある。
「一日一想」紹介ページではポール大角さんのプロフィールに充てたので、ここでは正編、続編を通しての感想を書く。
本書入手時、一通り目を通したものの、「うーん、ちょっと説教臭いかな」などと思って敬遠していたのである。すみません。
今回、改めて読むと、なぜかすーっと心に染み込む。自分の弱さ、迷いを自覚しているとき、読むとなにか心の支えを得たような気持ちになるのだ。
著者は一貫して前向きである。正編、続編を通して自身の経験した苦労には触れていない。当初浅海が期待したのはハワイ日系人特有の経験、苦難の体験談だったと思うが、例えば収容所での体験に触れた箇所は正編、続編を通して一編だけだったと思う(続編 100頁)。しかもこれは風土病にやられ病室に幽閉されたことが主軸であり、それも今となっては命のありがたさを実感する得難い体験であったとしている。
アメリカ、日本、ハワイにただすべき点があると思えば公平に直言し、偏りはない。時には落語からも題材をとった短いコラム、勢いにのればすいすいと正編、続編、一日で読んでしまう。
なるほど。日系人にとどまらず人気コラムになるはずだ。本書続編の最後のコラムから一部を引用させて頂く。(p.149 「感謝状」から抜粋)
(前略)
先日サビナ・ティンという夫人から手紙を頂いた。「先日アドバタイザー紙にリーガン大統領が貴方の”Today’s Thought”を読んで感謝状を送られたということを読みました。私は永年貴方のコラムを楽しんで読んでいますが、未だ一度も感謝状を出したことがありません。今真心をこめて厚く御礼申し上げます」と書いてあった。追伸に「私はまだ九十三才です」と書き加えてあった。又感銘して頭が下がった。